9月25日(木)雨のち晴れ。京都では毎日のようにどこかで市が開かれている。手作り市やら骨董市、青物市など、その代表的なものに21日の東寺の弘法さんと25日の天神さんがある。今日25日は北野天満宮の天神さんの日で、散歩がてら久しぶりに覗いてきた。朝まで雨が降っていたせいで、露店の数が思ったより少ない気がしたが、いくつもある古着屋の周りは人だかりがしていた。ある古着店の前で、若者たちが紬の着物に袖を通している。山と積まれた古着の中から男性用の着物を選んで試着しているのだが、「袖が短すぎる」と云いあって
いる。その様子を見ていた女性客の一人が、「男の人なら袖の下からシャツが出ていてもいいのよ」。若者たちは大学の落語研究会のメンバーで、「落語のときは袖からシャツが出るのは駄目なのです」という。いまの若者は体が大きいから、古着だと手も足もはみ出してしまうだろう。気が付くと周りは外国人観光客だらけ。「店仕舞いのため半額」と書かれた店には、古伊万里の染付が並べてあった。天満宮の「瑞饋祭(ずいきまつり)」が近いので、楼門に猿田彦と剣鉾が飾ってあった。天神さんの瑞饋祭では文字通り、ずいきなどの野菜で飾られたお神輿が出る。北野が畑だったころの名残でしょうか。
●松田哲夫『縁もたけなわ』(小学館)を読む。『編集狂時代』とも重なるが、とにかく面白い。作家にとってもそうかもしれないが、編集者にとってもいい時代だったのだなあ、と思う。