11月29日(日)曇り。午前中、京都市美術館へ行く。開催中の「フェルメールとレンブラント展」を観るため。入館料1500円。開館と同時に入ったので、ゆっくり観ることができた。この展覧会は正しくは「17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展というもので、フェルメールやレンブラントと同時代に活躍した画家たちの作品を展示したもの。ポスターにもなっているフェルメールの作品「水差しを持つ女」は45×40という小さなものだが、静謐が凝縮したという感じ。美術館を出たあと、すぐ向かいにある動物園に入る。つい最近リニューアルしたばかりの動物園は見違えるよう。明るくスマートでモダンな園内は親子連れや若いカップルでいっぱい。小さな子どもたちをかきわけて、お目当てのゴリラと象のもとへまっしくらに。ゴリラの家にはオスのモモタロウとメスのゲンキ、子どものゲンタロウがくつろいでいた。飼育員さんの話。「モモタロウは母ゴリラの愛情をたっぷり受けて育ったので人間に興味はありません。でも子どものゲンタロウは産まれたとき体調がよくなかったのでやむなく人間の手で育ちました」。ゲンタロウは観客がへばりついているガラスの前で、いろんな行動をしてみせるが、モモタロウは遠くで背を向けたまま動こうとはしない。みんな生まれも育ちも動物園なのだが、野性本能はそれぞれ。ゴリラと人気を二分しているのが象たち。ラオスから贈られた4頭の子象たちが愛らしい。村上春樹に動物園の象の体が縮んでいき、ついには檻を抜け出して姿を消してしまうという話があった。タイトルは何だったか。目の前の象たちにはそんな怪奇現象は起こりそうにない。
束の間童心に返った日曜日。帰るといくつも留守電あり。ややこしい話、嬉しい話、哀しい話、伝言のあれこれを聞きかえしながら、今年もあと一月、と思う。今年は紅葉を観る暇もなかった。
写真上は京都美術館。中は動物園のゴリラ、モモタロウ。下はアジアゾウたち。