IMG_20210301_102740 2月26日(金)雨のち曇り。昭和11年に起きた「二・二六事件」の日。この事件に関しては澤地久枝の『妻たちの二・二六事件』で読んだことぐらいしか知らない。自国の歴史なのに、現代史はさっぱりなのだ。幕末維新も同じく、さっぱり。半藤一利の『昭和史』が出た時、熱心に読んだつもりだが、いやな事件は忘れたいと思ったものか。この事件、三島事件とよく語られることが多いが、どうなのだろう。クーデターは一日で鎮圧され、首謀者は処刑、反乱軍にいた兵士たちはその後戦場の最前線に出され、多くが戦死したという。兵士たちの多くは上官の命令に従っただけで、詳しいことは何も知らなかったのではないか。そのことは野呂邦暢の『失われた兵士たち』に繰り返し記されている。
 ●伊藤清彦・内野安彦『本屋と図書館の間にあるもの』(郵研社)を読む。先日、くまざわ書店の平台に積んであるのを見つけて買ってきたもの。伊藤清彦は盛岡さわや書店の店長から一関市立一関図書館の副館長を勤めた人。内野清彦は鹿嶋市立図書館や塩尻図書館の元館長で、現在は同志社大学大学院の講師。どちらも本に関するエキスパートとして出版界や図書館界では広く知られた存在。カリスマ書店員と呼ばれた伊藤清彦の持論は体験に裏打ちされているので、説得力がある。閉店寸前だった盛岡さわや書店を再生させ見違えるほど売れる本屋にした、その体験談が実に面白い。本屋と出版社の取引の内情が詳しく語られていて、これでは町から小さな書店が消えていくわけだと思われたことだ。鳥取の今井書店のこと、本の学校のこと、八戸のブックセンターのこと、私も訪ねた図書館や書店の話が出てくるのも嬉しかった。本屋と図書館は敵なんかじゃない、出版社と図書館もまた同じという言葉に賛成。しかしこんな書店員や図書館員はなかなかいないのではないかしら。毎年夏には、岩波書店の本を全部揃えている風樹文庫(諏訪市図書館)を訪ねるのだが、近くの塩尻市立図書館へは行ったことがない。今年の夏、ぜひ訪ねてみたい。