IMG_20220613_1309407月16日(土)曇り。昨日の朝、かかりつけ医のもとで4回目のコロナワクチンを接種。夕方から気分悪くなり早めに休んだのだが、今朝38度近い熱あり。平熱が35度6分くらいしかないので、37度を超えるともうぐったりなのだ。薬はのまず、おとなしく横になっていたら夕方には平熱に戻って元気になった。横になっている間にふと思い出して、ZOOMで長崎平和文化研究所の講演を聴く。講師は平野伸人さんで、海外被爆者についての話だった。この日は祇園祭の前祭宵山。TVで宵山中継を見たが、狭い一画に30万人もの人出があり、四条通が完全に人で埋まっているのを見てゾッとした。4回目のワクチン接種済みといっても、年寄りには敬遠したくなる光景だ。
横になっている間、福岡伸一『ゆく川の流れは、動的平衡』(朝日新聞出版)IMG_6574を読む。朝日新聞に2015年から2020年まで連載されたごく短いエッセイをまとめたもの。生命体はたえず細胞を分解し新しいものと交代している。この分解と更新の流れを著書は「動的平衡」と名付け、これが生命の定義だという。「ゆく川の流れはたえずして、しかももとの水にあらず」、生命もまた同じようにたえず分解と更新を繰り返しているわけ。著者の関心は実に幅広く、科学者の目で語る森羅万象は興味深いものがあった。「科学の進歩を支えているのは科学者ではなく、むしろアマチュアである」という文によると、それが特に顕著なのは、昆虫の発見、彗星の発見、化石の発見の三つだという。福島県に住むある化石ハンターの高校生が発見した海竜の化石の話、断層に彼が見つけた化石はなんと全長7メートルもの巨大な海竜の化石だった。それはフタバスズキリュウと名付けられたという。少年の名は鈴木直。長じて大人になった鈴木直さんの講演を聴いた著者は、彼が「劫初よりつくりいとなむ殿堂にわれも黄金の釘一つ打つ」という与謝野晶子の歌を引いて話を終えたことを感慨深く記している。1ページに話が一つ、どこからでもするする読める。それが宇宙の話だったり、身近な自然の話だったり、美術、音楽、文学、軽やかでかつ明快、病中でしたが、実に楽しい読書でした。
 写真下は祇園祭宵山のTV中継画面。四条烏丸の長刀鉾辺り。通りは人で埋まっています。まさに立錐の余地なし。